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プリンス×プリンセス

第75章 Caf'e&Tea-Room・Y

初めてこのお店を訪れた時――

私を見ても顔色1つ変わらなくて。

ユーノス君を遅刻させた賠償、なんて話までして追い払われそうになった。

あの時はグレイス王女がうまく話を取りなしてくれたから、大した騒ぎにもならずに済ませられたのだけれど…

「では…お久し振りですとでも言えば良かったのでしょうか?」

ジュークは自分の言葉に苦笑すると、ぼそりと呟く。

「言えるはずがない」

その声で、彼の重くて苦しい気持ちが伝わってきた。

あなたが姿を消した翌日、ディオからこう聞いたわ。

私達の為に動いてくれて…その結果、ジュークは事故に遭って亡くなった、って…。

だから、あなたが生きているなんて信じられなかった。

信じられなくて…理由を創造してしまった。

「…あの事故で記憶を失くしているのかと思いました」

崖から車ごと落ちたって聞いたわ。

相当にひどい怪我を負ったのなら、記憶喪失になる事もあり得るかもしれない。


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