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プリンス×プリンセス

第11章 ティアナの思い

そんな私に気付くことはなく、ジュークは

「貴女のお陰で、あの気難しいお方が終始和やかでした」

そして、いたずらっ子のような笑みを浮かべると

「意味はあると思いますよ?」

そう言って、私の顔を覗き込んだ。

そんな表情を見せないで…っ!!

ドキドキと高鳴る胸を押さえて、上気した顔を見られないように下を向くと

「それは…ディオチェスター様が気遣って下さっているから…」

絞り出すように答えた。

そして、自分の言った言葉に気分が重くなる。

側にいると本当によく分かるのだけれど、ディオチェスター様はかなり私に気を遣っている。

あの記者会見での写真を見たとき、思ったの。

こんなに自然体の、優しいまなざしを浮かべられたのは、隣にいるのが私ではなくテリオスだったからじゃないか…って…。

目を伏せて考えてしまうと

「おや?私は『気難しい方』と言っただけですが?」

「え?」

はっと我に返ってジュークを見上げると、ジュークは顎に手を当てて、小首を傾げて笑いを浮かべていた。

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