テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第77章 1年前の真相

現実ではあり得ないと思うほど意外で…こんな事をされたのは初めてだ。

「ディオチェスター様!?」

焦りと戸惑いと…俺自身、こんな思いを抱えるのも初めてだ。

「後は任せろ」

肩を抱かれたまま、いつもよりも近い距離で告げられて…

その声に、頬が緩む。

「そんな表情で言われても」

少しだけ笑いをこぼすと、ディオチェスター様の声が刺々しくなった。

「顔など見えていないだろう?」

それは確かに。

俺の目に映るのは、ディオチェスター様の髪だけだ。

今、どんな表情なのか、実際には見ていない。

だけど

「見なくても分かりますよ?」

どれだけ長い間、あなたの側で、あなたを見てきたか。

声で表情を思い浮かべるなど、容易い事です。

すると、俺の肩を抱くディオチェスター様の腕に力が込もって…

「ぴぇえん」

俺の腕の中で、むずがる声がした!

「あ」

赤ん坊の声に、ディオチェスター様は慌てて一歩退く。

泣き出すかと構えたが、予想に反して微睡んでいた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ