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プリンス×プリンセス

第77章 1年前の真相

泣き出されなくて、ほっと息を付くと

「大物だな。…誰に似たのやら」

ディオチェスター様が笑い混じりに呟いた。

その声が胸に刺さる。

俺の子だ、と自覚している。

自覚はしている、が。

あえてそこには触れず、にっこり微笑む。

「これから私がいなくて不便かもしれませんが、早く慣れて下さい」

元々、あなたの側に居るには、相応しい立場ではなかったのだ。

俺がここに来なければ、俺の役目は誰かがしていた。

「ルークスも役立つ男です。鍛えてやって下さい」

それはルークスかもしれないし、他の人なのかもしれない。

当初の人材に入れ替わる―――ただそれだけだ。

「ディオチェスター様?」

話しかけた事に対しての返答が何もなくて、首を傾げる。

すると、ディオチェスター様は眉を寄せて、不機嫌そのままの声で言った。

「グレイスの所へ行け。話はしておく」

「グレイス様…何故ですか?」

「彼女ならよくしてくれる。それに、この前の詫びに丁度いい」

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