テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第78章 柔らかな温もり

ルーミー…?

ルーミーなの……?

その姿を見て、間違いないと確信するのに。

私だけ時間が止まったように、ルーミーを見ているだけで、身動きも取れない。

すると、ルーミーがこちらを見た。

それに気付いたジュークが舌打ちをして、引き戸の前に立ち塞がる。

「……まま?」

吐息混じりの、か細い声。

ルーミーが、私を呼んでる……?

感情が込み上げてきて、咄嗟に口元を手で覆った。

ジュークで隠れてしまっているけど、確かにそこにいる!

「まま、まま、まま!」

ルーミーの声と、ジュークを叩いているのか、ポスポスと乾いた音が繰り返される。

「ルー!落ち着きなさい!」

ジュークがルーミーを覆うように抱き締める。

ポスポスと鳴っていた音は止んだけど…

「まま、ままぁ!」

ジュークに抱き締められながら、ルーミーは私に向かって小さな手を伸ばしていた。

その手に引かれるように、ゆっくりと歩み寄ると…

そっと、その手を握る。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ