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プリンス×プリンセス

第78章 柔らかな温もり

ルーミーのふわふわの髪の毛を撫でる。

細くて柔らかい髪。

ずっとずっと撫でたくて…夢でしか叶わないと思っていたのに。

するとルーミーが、両手をいっぱいに広げて、全身で私を受け入れるように抱き付いてきた。

「…っ」

この柔らかな温もりが嬉しくて。

知らず、涙が頬を伝っていった。

髪を撫でられ、ルーミーが嬉しそうに笑顔で私を見上げ…

私の涙を見て、笑顔が凍りついた。

「まま?いたいいたい?」

顔を曇らせて聞くルーミーに、首を横に振って

「あ…ううん、平気よ。痛くないわ」

涙を拭って笑みを浮かべて見せる。

とても優しい子ね。

きっと、ジュークの育て方が良かったのでしょう。

愛情を込めて接してもらえた証拠だと思う。

それにしても―

さっきから疑問に思っていたものがよぎる。

どうしてルーミーは、一目で私が『ママ』だと認識できたのかしら。

ルーミーが私を覚えているはずはない。

だったら…どうして……?

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