蒼い月の下で
第1章 蒼の旋律
夜空に浮かぶ大きな蒼い月。
古城の窓から少年は月を眺める。時折風が琥珀の髪を揺らす。
少年の姿をしたそれは、100歳を迎えたばかりの若き吸血鬼の王。
「永遠、か」
一体何を持って永遠とするのだろう。
詳しい事は書物には書かれていなかった。ただ、
“人魚姫の血を飲めば、永遠が手に入る”とだけ綴られていた。
そして、これはもう何回も思ったことだ。おそらく永遠に慣れることはないだろう。
「独りで眺める月は味気無いものだな」
永遠に興味は無い。
もし手に入れたとしても、孤独であるならば何の意味も成さないのだから。