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どっちもぼっち。

第1章 みかん色に染まりたい柚と染まるきのないライム

 
 


 春……。

 放課後の教室……。

 そこに居合わす、ふたり“きり”……。



 カーテンのすき間から射し込む夕焼けは、教師の空けた教卓を明日の日直の書かれた黒板を、がらんどうとした教室そのものを照らし出し――




「…………」


 ひとりの女子を目の前に高鳴る鼓動を抑えてたたずむ俺を、みかん色に染め上げてくれていた。


 

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