どっちもぼっち。
第2章 部屋の角においやられる埃と、進んで角にむかう塵
「ユリと出かけてたから見逃したー!」「数学のがだるくねー?」「彼女欲しー!」「でもあの人ホモって噂だよ」
……。
よそう。モノローグを発してるときくらい自分をごまかすのはよそう。俺はメフィラス星人ばりの潔さで、形而上の6色入り蛍光ペンセットを一本ずつ折っていく。バキッ、ボキ。
自分に対し自分を偽って目的意識を見失っては、周囲へ取り繕うことすらできない。これが転校経験とそれに伴うぼっち経験の多い俺なりの組成術だ。バキッ、ボキ。
というわけで今日も今日とて目立つの大嫌い・カメレオン優は! 周囲に溶け込めない羞恥を周知の事実にしないため、真面目なクラスメートを演じるのでしたァー、と。
「……」
ったく、それに比べてこいつはァ……。俺は窓辺をながめるふりをしながら、うしろの席に座るその仏頂面を横目で睨んだ。