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どっちもぼっち。

第1章 みかん色に染まりたい柚と染まるきのないライム

 


 や、その言葉の暴力を投げつけてやった、と言うべきかなあ?



“ひとりぼっち” “コミュ障” “不人気者”



 著し方は数あれど、こいつ、結城はやみ(ゆうき はやみ)は――いわゆる“ぼっち”と呼ばれる存在だ。



 入学式からもう一月以上が過ぎたというのに、誰とも口を聞くことなく友人も知人すら作れていない独りぼっちさん。



 休み時間。クラスメートたちが談笑を楽しんでいる中、たったひとり窓辺をぼーっと眺める呆けたすがたを見て。


 体育の授業。『仲のいい人同士、ペアになって体操はじめてー?』先生からの有難い提案にも応えられない哀れなすがたを見て。


 そして放課後。すでに下校したみんなたちの誰からも帰り道を誘われることなく、たったひとりで居残るすがたを見て俺は――



「寂しくはァー、ないのかなァー?」



 ――“それ”を確信に変え、憎たらしい仏頂面に嫌味をぶん投げてやった。


 

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