どっちもぼっち。
第1章 みかん色に染まりたい柚と染まるきのないライム
「……」
意図したデッドボールを受けた打者はと言うと、やや上目遣いの眼差しをそのままにやや口を半開きにしていた。面食らっちゃったのかなあ。かわいそうになあ。
この、学校という名の猿山社会においておまえのような存在は、意図せずとも自然に浮きぼり立ち意図せずとも周囲の目に留まってしまうんだよ。
要はなんて言いたいかって言うと『えらっそうに悪目立ちしてんじゃねえよ、ばあか』。
「……」
反論に出ることも塁に出ることも忘れ、哀れに呆けるぼっちさん。動揺しちゃったのかなあ。同情しちゃうな――
「ええと」
「なにくんだっけ」
……。
って、なんだ単に顔を覚えられていなかっただけか。