アイツまで徒歩5分
第5章 車は、急には止まれない!
「え―――…本当に?」
陣ヶ岡さんは、俺の目の前でにっこり笑う……
「あぁ……誰も知らない…最知だけ―――――――…」
あ〜…そっか…俺しか知らないんだ……
「――――…ん?なら…なんでタクシーで俺にキスしたんですか?」
だよなぁ?なんでだ?しかも、一関に悪い事しちゃったじゃないか!?
「あれは!!最知が、男に抱き締められてたから!?」
はぁ?なんじゃそりゃ?
「あれは、陣ヶ岡さんとチーフの仲がいい所を目撃して……“なんだ〜そっか〜”とか、思って落ち込んでた所を…慰められた?的な」
「はぁ?なんじゃそりゃ?意味わかんね〜んだけど!!」
俺だって…意味わかんね〜んだよ…
「あ〜ぁ、酔いが冷めたじゃね〜か!最知のバーガ」
ムカ!!何だよ!俺のせいかよ!!
「付き合え、飲み直しだ!」
そう言うと、陣ヶ岡さんは、俺の手を握り―――――…
歩き出した…
暖かくて…大きな手…
「なんだ……勘違いかよ…」
陣ヶ岡さんは、笑っている…
あれ?俺も…ちょっと笑ってやんの…
泣いたり…怒ったり、わらったり…
今日は…疲れた―――――…