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恋愛成就の願いごと

第1章 恋愛成就の願いごと

 涼平が帰る日。私は、重い足取りで仕事に向かう。巫女服に着替え、出ると涼平の姿があった。

「何してるの? 今日帰るんじゃないの?」

「帰りますよ。何でもないです」

 明らかに何かを隠している。雑に掛けられた、いかにも今つけましたというような裏向けの絵馬がかかっている。

「ほんとに?」

「本当です」

「涼平、早くしろよー!」

「ごめーん、すぐ行くー。では、呼ばれてるんで僕、帰りますね」

 腑に落ちないが私は仕方なく頷く。

「僕、大人になったら優花さんのこと迎えに来ますので。だからまたねです!」

「え?」

 私の返事も聞かずに涼平は、友達の元へ走り去った。頬に雫が伝う。何故だろうか。私はそれを知るために雑に掛けられた絵馬を表に向けた。そこには、

“優花さんが好きです 如月涼平”

 と書いてある。その絵馬にマジックで小さく“私も”と付け足した。



End
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