テキストサイズ

想いが変わるとき

第1章 想いが変わるとき

 イジメは酷くなるばかり。
 私はいつしか生きている意味を考えるようになり、死にたいと思うようになった。


 勉強以外は、薬物に飛び降り。交通事故や練炭。それに首吊り……自殺方法ばかり考えるようになっていた。



 ある日、母親ととある飲食店に行った。


「お水お持ち致しました」


 店員が水とフォークやナイフの入ったケースを持ってくる。いつもの光景。


 だけど、今日は違って見えた。店員の持ってきたケースの中にあるものに目が留まった。ナイフ。


 テレビのドキュメンタリーや小説でよく見る言葉。リストカット。


 嫌なことを忘れられる、生きてることを実感する……よく聞いた言葉。


「結奈(ユウナ)」


「え?」


 母親に名を呼ばれはっと我に返る。


「決まったの?」


「あっ……ああ。日替わりランチでいいよ。パンで」


 私がそう言うと母は店員に注文した。


 その日はそれで終わり。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ