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想いが変わるとき

第1章 想いが変わるとき

 季節は過ぎて夏。夏なのに私は長袖を着ていた。


 久々のデート。何気ない会話。


「なあ、なんで最近、長袖なわけ?」


「えあ……紫外線対策?」


 私は彼から目を逸らしはぐらかす。


「嘘つけ、そんなこと今までしてなかったくせに。それに目が泳いでる」


「……」


 私は無言で袖を上げた。


「なにこれ? 最近の特殊メイクはすげえなあ」


 彼は大声で笑った。


「冗談……? 冗談じゃないよ。リストカット。少し前からしてる」


「気持ち悪い。別れよか? 俺、そんな女無理だわ」


「なん……で?」


「じゃあな」


 彼は一方的に去っていった。あっけない終わり。


 それ以来、私の自傷行為は酷くなる一方だった。

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