Tears&smile~大切な思い出~
第1章 Tears&smile~大切な思い出~
離婚の話を聞いて一週間後の日曜日。パパが引っ越す日。引越し屋さんがお昼頃に荷物を積み終え、出発するという時。
「苺にお父さんからの最後のプレゼント。これを着たらきっと可愛くて素敵なお姫様になれるよ」
苺の頭を撫でた後、パパは引越し屋さんのトラックに乗ってしまった。トラックが走り出す。
「パパ!」
走って追いかけようとする……だけど、ママに後ろからがっちり掴まれてしまった。
「パパ! パパ!」
ママが何かを言っているが、聞いている余裕なんてない。トラックが去ってもその場から動くことが出来なかった。パパは出て行った。もう帰らない。
「苺、そろそろ戻ろうか」
ママの言葉に頷いて、家に戻った。苺の部屋と書かれた扉を開け、自室に入る。
パパからもらった紙袋を開けるとそこにはピンクでフリフリの甘いロリィタの服。ふわふわしていてお菓子みたい。さっそくその服を着て、全身鏡の前に立つ。
「なに……これ?」
服はお姫様みたいに可愛くて輝いている。なのに、痛んだ黒髪。一重で小さい目。手入れの行き届いていない肌。見れば見るほど物足りない。苺って……こんなんだったんだ。どうして気づかなかったのだろう。苺が可愛くないからいけないんだ。考えていると足に力が入らなくなった。その場に座り込んだ。涙が零れ落ちた。だけど、こうも思う。苺が本当のお姫様みたいになって、パパからもらったこの可愛い服が似合うようになれば、きっとパパは戻って来てくれる。きっとそうだ!
今は、そう信じるしか出来ない。だってそうしないと何を頑張っていけばいいのか分からなくなってしまうから。
「苺にお父さんからの最後のプレゼント。これを着たらきっと可愛くて素敵なお姫様になれるよ」
苺の頭を撫でた後、パパは引越し屋さんのトラックに乗ってしまった。トラックが走り出す。
「パパ!」
走って追いかけようとする……だけど、ママに後ろからがっちり掴まれてしまった。
「パパ! パパ!」
ママが何かを言っているが、聞いている余裕なんてない。トラックが去ってもその場から動くことが出来なかった。パパは出て行った。もう帰らない。
「苺、そろそろ戻ろうか」
ママの言葉に頷いて、家に戻った。苺の部屋と書かれた扉を開け、自室に入る。
パパからもらった紙袋を開けるとそこにはピンクでフリフリの甘いロリィタの服。ふわふわしていてお菓子みたい。さっそくその服を着て、全身鏡の前に立つ。
「なに……これ?」
服はお姫様みたいに可愛くて輝いている。なのに、痛んだ黒髪。一重で小さい目。手入れの行き届いていない肌。見れば見るほど物足りない。苺って……こんなんだったんだ。どうして気づかなかったのだろう。苺が可愛くないからいけないんだ。考えていると足に力が入らなくなった。その場に座り込んだ。涙が零れ落ちた。だけど、こうも思う。苺が本当のお姫様みたいになって、パパからもらったこの可愛い服が似合うようになれば、きっとパパは戻って来てくれる。きっとそうだ!
今は、そう信じるしか出来ない。だってそうしないと何を頑張っていけばいいのか分からなくなってしまうから。