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Brilliant Brand blood

第1章 不運なりし侵入者〜満月に照らされたピアノ

カツカツカツと、誰かが歩く音が響く。
ガチャッと扉が乱暴に開いた。と同時に開いた人物が大声で叫ぶ。

翔「サト!!なんともないんだろ!!ならさっさと引きこもる前に連絡いれろよ!!」

大声の主は碧の服を纏った彼と似た衣装の服を纏っていた。が、此方は深い緋。燃えるような色。そして両腕の袖口は真っ直ぐだ。ちなみに冬仕様。

翔「サト!!聞いてんの?!?」

ズカズカと音のしかねない乱暴さでグランドピアノに近寄ると、またもロープに突っ伏すように寝入る体勢の彼の左耳を力任せに引っ張る。

智「痛た!!痛いよ、ショウ〜!?」
翔「当たり前だっての!!何でまた寝ようとすんの!!あんたは!」
智「しょうがないじゃん、もう…せっかくの一時を邪魔されてんだから〜!」

眠いんだよ…と、左耳を掴むショウの手を振り払う。

智「そっちはどうなの?平気?」

一応聞いておく。じゃないと後が怖い。色々と…。

翔「当たり前だろ。あんな雑魚共本来ならマサキ一人でかたがつく。でも、」

と、珍しく言葉をショウが詰まらせた。

智「何?」
翔「…ジュンが、身体が鈍る、つってさ、張り切りやがった…」

何処かスネたような表情をショウがしたことに、笑みが零れる。

珍しい…にしても、相変わらず過保護だなぁ…。
言葉にしない感想は、自分の顔にも出ていた。

翔「サト、連絡入れて来るから、ここからの移動はまだしないようにね?」
智「エーッ!!!?何で?!?」
翔「こういったことの連絡だけは入れておくようにって言われてんの!!宵闇の王と茶の王に」
智「エーッ!!ってかあの二人も過保護だなぁ」

平気なのに〜、とブツブツ文句を並べ立ててみるものの、ショウの怒りは収まらず、

翔「知らない。いい加減一度は帰んないとサトの騎士が出てくるよ、それでも良いんなら引きこもってな!」
智「うーっ!!」

それを言われると弱い…。
自分の部下でもあるあいつは、俺より強いんだよなぁ?純粋な腕力、という意味だけならば。
それ以外でならば、やはり自分の方が強い。
それが王の資格ではないのだが。




翔「ま、迎えが来るのに時間はかけさせるから、心往くまで寝てなよ」

じゃあね、そう言ってショウの姿が消えた。

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