Brilliant Brand blood
第3章 宵の果てに置いた記憶
紅「悪いな……」
鴉のクチバシが上下に動く。
そのクチバシからもれる男の声は、低くも高くも聴こえてくるから不思議だ。
横「ん?」
紅「機嫌だ、黒。悪そうだな、上手くいってないか、元々、宵は気難しいからな」
途端にヨコ君の眉間に皺がよった。
横「何や!嫌味なら聞かへんぞ」
くくく…と笑う紅い鴉。
酒の肴を作りに炊事場へ下がって煮物を小皿に取り分けた。
少しだけ、時間をかけて………。
黒、と紅の王は呼ぶ。ヨコ君も紅、と呼ぶ。
オレもすばる君も、まだまだ足りない。
二人の会話を聞ける立場にない………。
悲しい、寂しい気持ちはヒナちゃんにも、言えそうにない……。
なにも出来ない"従者"としての立場に、苛立つ気持ちを、隠すので精一杯だ。