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お嬢様と二人の執事

第8章 惑い


自分の知っている本当の高宮はあの日、俺に縋り全てを吐き出したあとに見せたあのダイヤモンドように強く美しい存在だと思う。

そのダイヤの輝きに俺は間違いなく惹かれていた。

でもダイヤモンドだと思っていたその強さは実はものすごく繊細なモノだったのではないか?

知らず知らずにたくさん傷つきその輝きを失くしてしまったのだろうか?

弟のように思っているはずの高宮のことを疑いの目で見る自分は酷く醜い存在だと思う。

本当の兄だったならば…高宮のことを最後まで信じることが出来たのだろうか?

今自分に出来ることは亘様を、東堂の家を内側から支えることだけ…。

そう思って高宮の動向に目を凝らしながら、日々を送る。

高宮の真意を見極められないまま時は過ぎていった。

そんな中で沙都子様が我々の前に現れた。

あの方のことを…高宮がどうするか?

あの話のように誑し込むのか…。

今まででもっとも強い警戒心をもって高宮を見ていた。

その高宮が沙都子様を抱いたと聞いたとき…俺は愛する人とそして弟のような存在を失ったと思った。

でも今日の二人の雰囲気を見て…もしかしたらそれもまた間違っているのかもしれないと思った。

高宮の顔があの時のように強く輝いて見えた。

ダイヤモンドの輝きに…沙都子様の心は動くのではないか?

そんな不安は先ほどの姿で打ち消された。

沙都子様と高宮。

どちらも自分にとって大事な存在なのだと再認識した。

俺は…どうしたらいいのだろうか?

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