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お嬢様と二人の執事

第10章 旅立ち


「沙都子には私の仕事を手伝ってもらうつもりだったんだがね、さすがに今の沙都子には荷が重そうなので追加で募集していた会社から内定を貰ったんだよ。

沙都子も4月から新しいスタートを切ることになる。最初は絢さんも麻紗さんも新しい環境で慣れないこともあると思うが変わらず、沙都子と付き合ってもらえると嬉しいんだけどね?」

亘の言葉に麻紗も絢も「もちろん」と二つ返事で返す。

「うん、よろしく頼むよ。よかったら今度遊びにくるといい。」

亘が上機嫌に言うのに沙都子は少し怖い顔で「お祖父様!」と口を挟んだ。

まだ全てを話す勇気がない沙都子とこの先もいい関係を続けていくのにはある程度、知る必要があると思っている亘。

確かに、東堂のことを話すと途端に掌を返す人間が多いのは間違いないがこの二人はそんなことはしないと亘は確信した。

それは企業群のトップとして数多の人間を見てきた亘。
その目に狂いはない。

沙都子にとって、生涯の友となるであろう二人と会って亘は安心した。

これから先の自分の時間を考えたとき、沙都子を支える人が多いに越したことはない。

沙都子が信頼し、自分を出せる友人という存在が絶対に必要になる。

この二人なら間違い。
亘は満足げに頷いた。

「三人ともそろそろ次の予定があるだろう?今日は年寄りに付き合ってくれてありがとう。

さぁ、行っておいで。沙都子、気をつけて…そして楽しんでおいで。」

「はい、お祖父様。」

沙都子は頷くと、麻紗と絢とともにキャンバスに戻っていった。

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