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お嬢様と二人の執事

第10章 旅立ち


「ごめん、沙都。やっぱり卒業式の後だからかな?ちょっとセンチメンタルな気分になったのかも。」

麻紗が言いながら案内された席に着く。

「沙都子、そんな顔しないで。ごめんって。ね?沙都子に泣かれるの弱いの知ってるでしょ?」

絢も沙都子に謝りながら席に着いた。

4人が席に着き、和やかなランチタイムが始まった。


絢と麻紗が沙都子の中学、高校時代の話をするのを亘はニコニコしながら聞いていた。

デザートが運ばれてくる段階になって亘が二人に聞く。

「麻紗さんと絢さんは卒業後はどうするのかな?」

「私は外資系のコンサルティング会社に就職します。いずれ自分で起業したいと思っているのでとにかく色々吸収したいとおもっているんです。」

絢がまっすぐな瞳で言う。

「私は法科大学院に進学します。将来的には弁護士になって困っている人を助けてあげたいので。」

麻紗のトレードマークの太陽のような暖かい笑顔とともに言った。

「そうか…うん、目標があっていい。
きっとこれから色々あると思うがその志を忘れないで進んで欲しいね。」

亘が二人を眩しそうに見ながら言った。

「沙都ちゃんは?おじいさんのお手伝いするって言ってなかったっけ?」

「うん…。」

沙都子の返事の歯切れが悪い。

就職活動が終わった後に貰った内定。
それをどう説明するか…この期におよんで悩む沙都子。

その様子を見ていた亘が助け舟を出した。

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