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お嬢様と二人の執事

第10章 旅立ち


結局、そのままキャンバスを後にし、大学の最寄り駅近くのカフェでお茶をしたあと、3人は別れた。

いつものように、いつもと変わりなく別れた。

沙都子は迎えに来た高宮の車に乗った。

「沙都子様、ご卒業おめでとうございます。入社式までは少しのんびりなさいますか?

もしそうであればそのように手配いたしますが。」

沙都子は首を振る。

「いいえ、予定通りで大丈夫です。」

「かしこまりました。」

返事をした高宮の顔をじっと見つめる沙都子。

視線を感じた高宮が沙都子に聞く。

「沙都子様、いかがなさいましたか?」

「今日は神山さんが来る予定だと聞いていたのに一也さんが来たからおどろいただけ…。」

「神山は城さんがまた腰をやったらしくて本邸のほうにいっております。なので私が参りました。」

「そう…。では…。」

「はい、今夜は私が沙都子様とご一緒いたします。お嫌ですか?」

「いいえ。そんなこと…。」

もうすぐ今までと生活が一変する。
そのことを考えると不安でいっぱいだった。

「沙都子様?4月以降のことを考えてらっしゃるのですか?
大丈夫ですよ?あなたならきっと上手くやれますよ」

そして悪戯っぽい笑みを浮かべてさらに言う。

「研修中はほかの新人と一緒ですが…私がフォローしますので安心してください。」

高宮が沙都子の側に着くことを知らされていなかった沙都子は驚きを隠せなかった。

同時に不安だった気持ちが少し明るくなった。

沙都子の顔に笑顔が戻って高宮は内心ホッとした。

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