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お嬢様と二人の執事

第11章 桜

翌週の週末。

絢と麻紗は沙都子の誘いに応じてくれた。

横浜まで三人で行くことになった。

麻紗が運転していくことになったので、神山も高宮も置いてけぼりを食らった。

玄関ホールの近くの部屋で麻紗の車を待っていると、電話が掛かって来た。

「もしもし?絢ちゃん?」

『あ、沙都子?あの…』

「どうしたの?」

『玄関…どこ?』




それから15分後、麻紗の車は沙都子の館の前に停まった。

あんぐりと口を開けたまま、麻紗と絢は固まっていた。

「あ、ごめん…そういえば、言ってなかったっけ…」

卒業式の日にもなかなか言い出せなかった東堂の家のことを、結局沙都子は今日まで言えていなかった。

それどころか、言うのを忘れていたという大失態を犯した。

「沙都子様…」

神山が呆れたように額に手を置いた。

「あ、ごめんね、絢ちゃん、麻紗ちゃん。実は東堂のお家って…」

「わかった。さと」

麻紗が笑顔を見せた。

「言い出せなかったんだね…こんなことになってたなんて…」

「麻紗ちゃん…」

絢もやっと我を取り戻したような顔をして、溜息をついた。

「そりゃ…これだけ環境がかわっちゃあね…」

「詳しい話は車で聞くから。さと乗っちゃいなよ」

麻紗が人懐っこい笑顔を見せると、やっと沙都子も笑顔を取り戻した。

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