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お嬢様と二人の執事

第13章 未来への階

「そんな立場を若いお二人に押し付けることになるのは心苦しい。

だが…それでも敢えてその立場に立ってほしいと願ってもいいだろうか?

孫を孤独な立場に起きたくないと願う愚かな年寄りの願いをかなえてもらえないだろうか?

沙都子を傍で支えてやってもらえないだろうか。」

亘の懇願とも取れる言葉に絢と麻紗は最大級の笑顔を向けた。

「ありがとうございます。私たち、沙都子を支えます。何があっても沙都子を守ります。」

「東堂さんの期待に応えられるよう頑張ります。私たちの力はわずかなものですが…それでも沙都の笑顔を守るために一生懸命頑張りますから…見ていてください。」

絢と麻紗の力強い言葉に沙都子が泣き出す。

泣き出した沙都子をいつものように慰める麻紗と絢。

見事なチームワークに亘は微笑む。

そして後ろに控える神山と高宮を見て二人にも言った。

「神山、高宮。二人とも沙都子のことを公私ともに支えてくれ。」

「はい、もちろんです。亘様」

「私の全てを賭けて沙都子様をお守りいたします。」

神山と高宮の力強く決意に満ちた声に亘は満足そうに笑う。

泣き止んだ沙都子を見て亘が問うた。

「沙都子、今年でいくつになる?」

「25になりました。」

「そうか25か…雪芽が沙都子を宿したのも同じぐらいか…。」

そう言うとなにか考えるような表情の亘。

「沙都子の花嫁姿を私は見ることが出来るかな。」

ぽつりと言った亘の一言が沙都子の耳にはやけに大きく聞こえた。

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