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お嬢様と二人の執事

第14章 遠い道

「あのな、一也…」

ベッドに腰掛けた神山が、高宮の目を覗きこむ。

「沙都子様のことだけど」

「ああ…だめだね。あれから溜息ばかりだ」

テーブルの傍に置かれたイスに腰掛けて高宮は足を組む。

「そうか…いい手立てはないかな」

「今のところは…。家柄、年齢なら合う人物はたくさんいるがね」

「…早く、なんとかして差し上げたいな…」

「それなんだがね…智紀さんって…」

「え?」

「いや…」

「なんだよ。はっきり言えよ」

「うん…。智紀さんはゲイなのか?」

「えっ…そんなはずない…。学生時代は、彼女が居たし…」

「そうか…」

「なんでそんなこと」

「いや、沙都子様が智紀さんの写真をみて、ゲイっぽいっておっしゃって…」

「はは…見ようによってはそうみえるかもな…」

「ああ…」

「なにかあったのか?」

「いや…別に。いやね。別に智紀さんじゃなくてもいいんだが、ゲイのような性癖をもった人だったら、沙都子様にいいんじゃないかと思って」

「一也…」

「すまん。忘れてくれ。おかしなことを言った」

「…いや…案外当たるかもしれないぞ。あまり特殊なのは困るが…」

考えこんだ神山の横顔をじっと高宮は見た。

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