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お嬢様と二人の執事

第15章 夜明け前

「初めまして。東堂沙都子です」

ガタンっと音を立てて、智紀が椅子から立ちあがった。

「初めまして!悟の兄で神山智紀と申します。この度は、ありがとうございます!」

深々と頭を下げると、ちらっと神山の顔を見た。

”これで大丈夫?”と聞いているようだった。

思わず神山は噴き出した。

「に、兄さん…」

「な、なんだよ、悟…笑うなよ」

陽の光が燦々と降り注ぐサンルームで、三人は笑いあった。

高宮は今日は執事に戻っている。

そんな三人を眺めながら、お茶の準備をしていた。

沙都子が席に着くのを、神山がサポートし、三人は席についた。

「今日は僕もゲストとして、参加させて貰うから」

「あ、そうなのか。いや、助かる」

「あら、智紀さんは随分と正直な方なんですね…」

沙都子がクスクスと笑う。

「あ、すいません。どうも初対面の女性と話すのは苦手なんです」

そう言って頭を掻く智紀を、神山はニコニコして見ている。

「あら、偶然ですわね。私もですの」

そう言って沙都子はころころと笑う。

高宮はふと気づいた。

ああ…以前、智紀を誰かに似ていると思ったが、沙都子だ。

春風のような雰囲気、優しい笑顔。

それが沙都子と似ているのだ。

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