お嬢様と二人の執事
第16章 ともにする人
季節が巡りいよいよ東堂家肝いりのプロジェクトとなった【東堂記念美術館】の開館日が間近に迫る。
この日はマスコミ向けのプレビューが行われる。
プレビューの他に会見の場も設けられることになっていた。
沙都子はプロジェクトの担当者として、また東堂家のトップとしてその場に立つことになっている。
智紀はこの美術館のメインとなる作品の作者としてこの場に招かれていた。
高宮は勿論、東堂家の収蔵品を展示することから神山も来ている。
そして…東堂の繊維部門を鮮やかな手腕でV字回復させた絢が持ち前のセンスで沙都子をスタイリングするために、また麻紗も法務担当者として長野に入っていた。
東堂記念美術館は広大な敷地に立てられていた。
広い庭には現代モダンアートの作家のオブジェが飾られている。
これらのオブジェは子どもたちが遊ぶことのできる遊具になっており夏には水遊びもできるようになっている。
美術を難しく考えるのではなく身近に感じてほしいという沙都子たちの願いを具現化させたものだった。
入口をはいってすぐのコーナーには智紀の描いた小さめの作品が飾られている。
回廊で結ばれたいくつもの展示室はそれぞれテーマがあり、そのテーマに従って展示が行われるようになっている。
開館後、最初の展示テーマは「日本と四季」
東堂家所蔵のさまざまな美術品とともに日本や世界のアート作品が展示されている。