お嬢様と二人の執事
第2章 執事と沙都子
神山side
「お願いします…抱きしめてください…」
そう聞こえた時、皮膚という皮膚が粟立った気がした。
沙都子様の薄い唇から出る、その湿った声が俺の理性を吹き飛ばしそうになった。
「いけません…沙都子様」
そう言って立ち上がろうとしたが、腕が沙都子様から離れない。
その温もりを、まだ感じていたかった。
「ごめんなさい…」
増々泣きだして、フラフラと立上がる。
「ごめんなさい…また泣いたりして…」
「沙都子様っ…」
ガクンと膝の力が抜けて、前のめりになった。
慌てて後ろから支えると、その身体は細く、折れてしまいそうだった。
そういえば、ここに来てから少し痩せられた気がする。
「お母さん…お父さん…」
俺の腕の中で、じっと涙を流す細い肩。
乱れた漆黒の髪の間から、白い項が覗く。
その白さに、思わず唾を飲み込んだ。
心臓が早鐘のように鳴っている。
最初に会った時から、泣き顔が頭から離れない。
なんとか力になりたい。
そればかり考えていた。
彼女の為にできることは、影に日向に全てやったつもりだ。
でも…
まだ沙都子様は泣いている。
俺にこれ以上できることはなんだろう。
どうやったら、沙都子様を微笑ませることができるだろう。
「お願いします…抱きしめてください…」
そう聞こえた時、皮膚という皮膚が粟立った気がした。
沙都子様の薄い唇から出る、その湿った声が俺の理性を吹き飛ばしそうになった。
「いけません…沙都子様」
そう言って立ち上がろうとしたが、腕が沙都子様から離れない。
その温もりを、まだ感じていたかった。
「ごめんなさい…」
増々泣きだして、フラフラと立上がる。
「ごめんなさい…また泣いたりして…」
「沙都子様っ…」
ガクンと膝の力が抜けて、前のめりになった。
慌てて後ろから支えると、その身体は細く、折れてしまいそうだった。
そういえば、ここに来てから少し痩せられた気がする。
「お母さん…お父さん…」
俺の腕の中で、じっと涙を流す細い肩。
乱れた漆黒の髪の間から、白い項が覗く。
その白さに、思わず唾を飲み込んだ。
心臓が早鐘のように鳴っている。
最初に会った時から、泣き顔が頭から離れない。
なんとか力になりたい。
そればかり考えていた。
彼女の為にできることは、影に日向に全てやったつもりだ。
でも…
まだ沙都子様は泣いている。
俺にこれ以上できることはなんだろう。
どうやったら、沙都子様を微笑ませることができるだろう。