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不透明な男

第12章 惑乱


B「なんだよここら辺、コンビニも無いのかよ……」


帰ってきたBはソファーに座る俺達を見て固まった。


B「なんでそんな汗だくに」

A「ああ、なんだか暑くてな」

B「成瀬、お前なんでそんな気怠そうなんだ」

智「ちょっと疲れちゃって」

B「疲れた…?」


怪訝な顔をしたBは、目線を落とすと急に叫んだ。


B「あああっ」

智「な、なんだよ煩いな」

B「これって…」


ローションの入っていた小袋を摘まんで持ち上げた。


智「あ」

B「まさかお前ら」

A「なんだそれ、知らないぞ?」


惚けるんじゃねえとBは顔を赤くする。


A「仕方ないだろうが。コイツが誘ってきたんだから」

智「あ、ちょっと」


なんで言うんだとAの口を塞ぐも時既に遅し。


B「成瀬が、誘っただと…?」

智「や、あの、これには事情が」

B「んじゃ俺に襲われても文句は言えねえよな?」

智「はっ?なんでそうなる…」


ガバッと俺に覆い被さるBはAに蹴り飛ばされた。


B「いっっってえ!」

A「成瀬が嫌がってるだろ」

B「はあ!?なんだよそれ、セコくねえか!?」


なあ成瀬?なんて俺の頭をAは撫でる。


智「え、どうしたの、なんか雰囲気が」

A「ん?」


なんだか凄く甘い笑みを俺に向ける。

俺から誘ったからだろうか。

悪いけど、ちょっとキモい。


A「それより飲み物くれ、喉が渇いた」

智「おれも」


やってられねえとばかりにBは乱暴に飲み物をテーブルに置く。


B「あ、そうだ、話は変わるが」


ペットボトルを両手で挟み、コクコクと喉を鳴らす俺を見つめながら話を続ける。


B「あの坊っちゃん何なんだ?ずっと家の周りを彷徨いてたが」

智「坊っちゃん?」

B「ほら、この前つけて来た時に居ただろ。気配丸出しの坊っちゃんが」

A「ああ、あいつか。また来てるのか」

B「なんだあれ。ストーカーか?」

智「んー、俺もよく分かんないんだよね」


呑気な事を言う俺に二人が忠告をする。

ストーカーってのはヤバいんだと。

最初は着いてくるだけかもしれないが、そのうちエスカレートするんだと。


A「ヤバいなと思った時には遅いんだ。殺される事だってあるんだぞ?」




俺は、翔に殺されるのか




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