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不透明な男

第12章 惑乱


おっとヤバいな。
抵抗出来ない振りをしたら、本当に好き勝手してきやがる。


智「…っ、く」


それともこの、縛られるという非現実的な行為が俺を煽っているのだろうか。
なんだかちょっと、イキそうだ。


「ふふ、イッてもいいのよ?」


俺にだってプライドってモンがある。
そう簡単にイッてたまるか。


智「っはぁ、はぁっ…、こ、こんな事、一体誰に」

「貴方の社長が教えてくれたのよ」

「え…?」


やっぱりアイツか。
断れなくて仕方なかったとか言いながら、しっかりこの女を煽ってんじゃねえか。


「この間は貴方の好き勝手にされて、手も足も出なかったと言ったら、縛ればいいんじゃないかって」

智「ん…っ、は、そ、そんな事を…」


なるほど、この女、聞けばなんでも答えてくれそうだ。


智「で、でも、夫人って社長の愛人なんじゃ」

「ええ?」


俺を口に含んで貪る様にしていた女はキョトンとして行為を止めた。


智「え…、だって、社長のお気に入りだと言っていた車に乗っている写真がありましたよ?」

「車?」

智「ええ、蝶のエンブレムの付いた車に」

「ああ、あの豪華なヤツね。…それだけで社長の女だと思ったの?」

智「だって、お気に入りの車に乗せるなんて、特別な関係とかじゃないんですか?」

「ふふ、可愛いわね。あの社長がそんなに純粋に見える?」


ああ助かった。これで少し落ち着けると思った俺の中心を、女はまた擦り始めた。


「まあでも、お気に入りを乗せてたのは確かね」

智「…っ、ぼ、僕は、乗った事、ありませんよ」

「もう今は無いのよ」

智「無い…?」


そう、そこまでは俺も知ってるんだよ。
その先だ。
本当に海に落ちたのか、そこに乗ってた人はどうなったのか。
俺はそれが聞きたいんだよ。

この女、少しでも知っててくれるとこんな事をしている意味も見えてくるんだが。


智「く…、あ、あんなに大事そうだったのに、何故…?」


そっちは後でいいんだよ。

早く口を離して喋ってくれ。





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