レモンスカッシュ
第3章 M/O
O side
2つ並ぶ仕事机の上には
沢山のカード。
カードには、一枚一枚に
演出のヒントが書かれてる
…らしい。
そのカードをずーっと書きためて、
ライブ演出を考えるときに見返している。
俺、そん時の松潤の顔…
大好きなんだ…
普段は何も思わないような物も、
いざ本人が居なくなると
すごく愛おしくて。
言い合っている間は気づかなかったけど
いつのまにか、
静かに崩れていたんだ。
少し冷静になりたくて、
夜風に当たろうと外に出た。
帽子を目深に被って
繁華街を目指す。
日付も変わったのに
眩しく光るネオンサイン
すれ違うのはカップルばかり
仕事帰りのおっちゃんたちも居る
しばらく、
色んな人を見ていた。
雑踏のなか、
呆然としていた。
…みんな、幸せそうだな。
客引きの兄ちゃんに声かけられて
振り切って細い路地に入る。
一気に暗くなってチカチカしたから
目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは
恋人の笑顔。
どうしていつも
君は笑顔だったの…
「…大野さん!?」
顔を上げると、見慣れた二人組がいた。