レモンスカッシュ
第1章 S/N
N side
「よし…。」
仕事を終えて、マネージャーの車の中。
手の中には、きつく握りしめた小瓶。
「二宮さん。今日、いい事
でもあるんですか?」
「んー?…ふふ。」
「楽しそうで何よりです。」
ふふ、と笑いながら運転してる。
…バレてんのかぁ。
「はい。着きましたよ。」
「え?…ここ。」
「はい。櫻井さんのマンションです。」
「いや、俺ー」
「ここじゃないんですか?」
「いや、ここでいいんだけど…」
うちのマネージャーは、1枚上手だった。
翔のマンションの鍵を使って、
エントランスを抜ける。
エレベーターに乗ったと同時に、
小瓶の蓋を開けてきゅっと一気に飲み干す。
「それ、即効性だから。」
相葉さんの言葉を思い出す。
「即効性って。どれくらいで効くんだろ。」
そんな一抹の不安も一瞬。
すぐに体が熱くなってくる。
「翔、来ちゃった♡」
玄関を開けた頃には、すっかり薬が回ってて。
疼く体を持て余してる。
こんなに凄いもんなの?
そう言われれば、
「それ、めっちゃ効くみたいだから、
ちょっとしか飲んじゃダメだよ。」
って言われた気がする。
まずい。
「やぁっ…」
少し壁に擦れただけでも、
全身に痛いほど走る快感。
ずっと欲しかった快感があって。
ずっと欲しかった、
翔の燃えるような瞳に見つめられてる。
「イケないこと、考えてたんでしょ?」
翔の瞳の奥が、俺を求めてる。
その瞳に見つめられただけでも、
体がゾクゾクする。
「違っ、考えてな…い。はぁ、っは。」
「ふーん…。」
息が上がってる俺を、視姦するように見てる。
「っあっ。」
体の力が一気に抜けた。
体が何度も何度も跳ねるのを止められない。
「え。…イった?」
そりゃ驚くよ。
俺が1番驚いてる。
これは効きすぎてる。
「へぇ…。
和は、インラン、だったんだぁ…。」
長い指で、唇を触れる。
それ、興奮してる時のクセでしょ?
「も、…触って?」