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黒猫ニーノと相葉さん。

第8章 青い『×』のサイン。

「親の仕事の都合で引っ越すことになったんだけどさ、
俺、友達と離れたくなくて
リビングのカレンダーに×印書いたんだ。
その日が来なければいい、って思ってさ。
俺の気持ち、親に気付いて欲しかったんだ。
無言の抵抗っていうかさ」


ニーノも
この日が来なければいい、って思ってるの…?


「なんか思い当たること、ないの?」

「うーん、わかんないな…」


「そっか…。
あ、さっきの質問だけど、」


ニーノと一緒に暮らし始めた日、だっけ。


「確か、先月の…」



そこまで言って、ハッとした。




「その×印の日が、ニーノと暮らし始めてちょうど一ヶ月だ。」

「それって、記念日だから○印じゃない?普通。」


そうだよね…
何か×印にした理由があるのかな。


「一ヶ月記念日なんか来てほしくない、とか?」

「ネガティブだなぁ」


翔ちゃんが笑う。
でも
この日が嫌なのは間違いないから。

きっと理由を聞いても答えないだろうから
俺が気付いてやらないとなんだ。


俺の膝枕ですやすや眠るニーノの髪を撫でた。



「さて、そろそろ帰ろうかな。
鍋、美味しかったよ!ごちそうさま!」


翔ちゃんがゴキゲンで帰っていった。

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