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黒猫ニーノと相葉さん。

第8章 青い『×』のサイン。

そうだ、救急車…!


119番しようと
スマホを手にしようとした時

 


ー ダンッ! ドンッ! ドンッ! ガリガリガリ ー




ベランダのガラス戸の方から音がして
カーテンを開けると

『にゃーぉ、にゃーーーーぉ!』


ジェイが、ここを開けろと言わんばかりに鳴いていた



「ジェイ!」

戸を開けてやると一目散にベッドに飛び乗り
ニーノの鼻に鼻を擦り合わせた。


『にゃーーーーぉ』


俺の目をじっと見て訴えかけるように
鼻を擦り合わせては、鳴き
鼻を擦り合わせては、鳴きを繰り返す



「俺にやれ、って事…?」




ニーノの頬を両手で包んで
俺の鼻をニーノの鼻にくっ付けた。



そうだ。
いつもこうしてたんだもんね。
俺とニーノの毎日の挨拶でもあり
愛情表現の一つだった。




「ニーノ。目を覚まして…。
俺を…一人にしないで…。
お前がいなくなったら、俺…」


ニーノを失ってしまうんじゃないかって
不安と恐怖感でいっぱいで
涙が自然とこぼれ落ちた。



「お願いだから…ニーノ…。」








『なーごっ。』







ニーノの鳴き声が
確かに聞こえた。





次の瞬間
ニーノの唇が僅かに動いて

「……あい……ば………さん…」


微かに聞こえるくらいの小さな声で
ニーノが俺の名前を呼んだ。

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