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黒猫ニーノと相葉さん。

第8章 青い『×』のサイン。

「それに、」


ニーノの赤い首輪を見せて言った。


「これ、ニーノの首輪なんだ。
人間の姿になって現れた日
裸でさ、この首輪を左腕に着けてたんだよ」


「そんな、鶴の恩返しみたいなこと…
でも、事実なんだよな…?」

俺は、力強く頷いた。


「病院に連れてったら…バレるかもしれない、ってことだよな?
そしたら大騒ぎになる、って…」

「うん…」


「そうか…参ったな…
眠ったまんまで食事も水分も摂れないんじゃ
どんどん衰弱していくからさ…」


「水分は摂ってる。
身体起こして…口移しで、飲ませてはいるんだけど…
食事はやっぱり無理で…」

「雅紀、仕事は?」

「休んでる。
インフルエンザにかかったって嘘ついちゃった。
一週間は休めって言われてるから、今週一杯は平気なんだけど…」

「お前なぁ…もっと早く言えよ!頼れよ!
友達だろ?俺たち。」


「翔ちゃん…」


翔ちゃんの気持ちが、嬉しかった。


「しかしな…
食事が出来てなくて
目を覚まさないっつーのがな…
どーすりゃいいんだ…」


その時
ずっとニーノの側に付いていたジェイが
突然キャットタワーの上に登り
カーテンを捲くって外を見ると


『にゃーーーーーーーーーぉ』


誰かを呼ぶように
綺麗な声で、鳴いた。

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