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黒猫ニーノと相葉さん。

第1章 月神様にお願い。

「相葉さんっ…どうしたら信じてくれるの…?」

「どうしたら、って…」


猫が一夜にして人間になっちゃうなんて
そんなお伽話みたいなこと
そんなこと、あるわけない…


「相葉さんっ…」


「き、君が本当にニーノなら俺を納得させてよ!
俺とニーノしか知らないことを知ってるはずだ!」



「わかった。」

男はキュッと唇を噛んだ


「じゃあ…
俺たちが出会った場所は?!」

「相葉さんの仕事場の、猫カフェの近くの公園っ!」

「その日の天気は?!」

「雨っ!」


うっ…正解だ…。


「ニーノが好きなエサはっ?!」

「ミルクの入ったカリカリっ!特に黄色の袋のやつ!」


「俺のお酒のツマミは?!」

「ビスケット!」


「ニーノがいつも寝てる場所はっ?!」

「昼間はソファーの端っこ!
相葉さんが仕事から帰ってきたら、胡座の上っ!
寝るときはここっ!」


なんで…
なんで知ってるんだよっ…


「じゃあ、じゃあ…
どうして俺が、ニーノって名前を付けたのか…」




「相葉さんの好きな人の名前が、『二宮さん』だから…」



自分はニーノだと主張するその男は
他人じゃ知り得ないことを
沢山沢山知っていた


もしかして
君は
本当に
本当に…。

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