テキストサイズ

黒猫ニーノと相葉さん。

第11章 悲しみの涙が乾いたら。

『いいんだよ。』
って言ってあげたい
でも
相葉さんが怒鳴った理由がわからないから言えなかった。


ぼくのこと、嫌いになったんじゃなかったの…?
相葉さんの気持ちがわからないよ…。



ご飯の器には
黄色い袋のカリカリとお水。
トイレの砂も新しくて。

そこにはぼくの居場所があった。



相葉さんがソファーの前の
いつもの定位置に座る。

「おいで、ニーノ」


いつもならぼくは相葉さんの胡座の上に座るけど
やっぱり気が引ける。

ソファーの上に座ろうか。
そう思っていた時
相葉さんの電話が鳴った。


「もしもし、翔ちゃん?
うん、うん。ごめんね、心配かけて。
さっき戻ってきたとこ。うん、大丈夫。
わかった。ありがとうね。」


翔ちゃん…?
誰だろう?


ぼくは胡座の上じゃなくて
ソファーの上に丸くなった。


相葉さんは何も言わずにぼくをじっと見つめると
ぼくをひと撫でして
そして泣きそうな顔で笑った。



「あっ、そうだ。」



立ち上がって寝室の方に行くと
戻ってきた時には
手にぼくの赤い首輪を持っていた。



「やっぱりコレがなきゃね。
一ヶ月ぶりだね、首輪するの。」





えっ?一ヶ月ぶり?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ