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黒猫ニーノと相葉さん。

第12章 スーパームーンの夜に。

スーパーで少しのお惣菜と
ビールと
ビスケットとサラミを買って家路に着いた。


『なーごっ。』

鍵を開ける音に気付いて
いつものようにニーノが出迎えてくれる。



「ただいま、ニーノ。」


抱き上げて鼻をスリスリすると
気持ち良さそうに目を瞑った。



あっ。不在票。



ドアポストに入っていた不在票は
金曜日の夜中にネットでポチったモノが届いたことを知らせていた。






「今更もう必要ないのに。」


痛いくらいのヒトリゴト。
惨めこの上ないや。









ニーノを抱いたあの日
俺はマッサージオイルを使った。

ニーノにかかる負担を最小限にすべきだったと反省して
ネットであれこれ検索した結果
ポチったのはローションとコンドーム。


当たり前に『次』があると思っていたんだ。

翔ちゃんの言う通りだった。
『当たり前の明日が来る保証なんてどこにも無い。』

全くだ。



再配達の電話をする気にもなれなくて
俺はそれをクシャッと丸めて
ゴミ箱に投げ捨てた。




「おいで、ニーノ。」




…呼んでも来てくれないんだね。

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