テキストサイズ

黒猫ニーノと相葉さん。

第17章 夢幻泡影。

『…気持ち悪いよね。』


シゲの声が
悲しげな瞳が
頭の中で何度も思い出されて。


「はぁ…」


スープを飲む手が止まっていた。


「オーちゃん元気ないの?」

ダイキが正面から身を乗り出して
オイラの顔を覗き込んだ。


「見てんじゃねぇ。
それからその呼び方やめろっつったろ」

「機嫌悪っ。」


あー、怖!と
ダイキがそそくさと逃げていく。



斜め向かいをチラリと見ると
シゲとマルとユーリが
楽しそうに喋りながら夕飯を食べていた。



「4部構成なんや。
今、3話目書いてるとこ?」

「そう。
今回はね、ちょっと悲しい話なんだ」

「へぇー!どんな内容なんですか?
触りだけ教えてくださいよー♡」


シゲの書いてる小説の話か。
ちょっとだけ聞き耳を立てる。




「男が…男に恋をして失恋する話。」

「そりゃまた…」

「えぇー!いいじゃないですか!
ここだって男社会だし、そうゆうロマンスがあったって、ねぇ?」


「もしかして、シゲさんの実話やったりして?」

「…そんなんじゃないよ」


「おい、マル!」

気づいたら立ち上がって
大きな声を出していた。


「シゲのことそんな風にからかうなっ!」


「…ごめん。」

マルがシュンとしてる。


「マル。気にしなくていいよ。
でもこれは僕の話じゃないよ。あくまでもフィクションだ。」

「そっか… そうやんなぁ! ごめんなさい、シゲさん」

シゲがマルの頭をポンポンと撫でて
そしてオイラを見て言った。


「オーノ君。
食事が済んだら月ノ湖に行こうよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ