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黒猫ニーノと相葉さん。

第17章 夢幻泡影。

フラフラとした足取りで
オカダッチに身体を支えられながら
10日ぶりに館へと戻った。



「オーノ様ぁぁっ!」


オイラの姿を見つけるなり
駆け寄って抱きついて来たのはユーリで。


「よくぞ、ご無事で…」

グスン、と鼻を鳴らすユーリの髪をクシャと撫でる。


「オーノ君!」

「オーちゃん!」


大きな翼を引きずりながら
マルが必死に駆け寄ってくる。

ダイキは調理の途中だったのか
お玉を握りしめたままだ。


「どこも痛ない? 大丈夫なん?」

「大丈夫だ。心配かけたね、マル」


「今日はオーちゃんの好きな魚料理、たくさん作ったからお腹いっぱい食べてくださいよ!」

目に涙を溜めて
唇をギュッと噛み締めながら、ダイキが言う。


「あぁ。うんまいモン、食わしてくれよ?」

ニコッと笑いかけてやると
ダイキがパァッと明るい表情をした。




「オーノ。オカーダ。」


「マツニー…」



「ご苦労だった。
腹ごしらえしたら、俺の部屋へ来い。」


「…わかりました。」




10日ぶりのダイキの飯は美味かった。
煮魚の優しい味が
胃の中にふわっと染みてくる。

卵で綴じた鮭の雑炊は
ダイキなりの気遣いのようで
オイラが食べ終えるまで
ダイキはじっとそれを見届けていた。

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