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黒猫ニーノと相葉さん。

第18章 猫の恩返し。

目が覚めるとそこはベッドの上で
きちんと服も着せられていて。

あぁ、俺、あのまま寝ちゃったんだ…。

声が枯れるまで泣いて
翔くんの胸に甘えていたところまでは覚えてる。


翔くんに悪いことしたな…。



ドアの向こうからは
翔くんの“朝の音”が聞こえてる。

出勤の支度をしてるのかな。

俺はゆっくり起き上がり
壁伝いにリビングへと向かった。




「翔くん、」

「おお、潤。おはよう。
気分はどうだ?」

「うん、だいぶいいよ…」


翔くんが俺の顔を覗き込んで
まだ顔色が良くないな、と
心配そうに眉を下げる。


「レトルトだけど、お粥あるからさ。
器に移してラップしてあるから、チンして食えよ?」

「うん、ありがと…」

「なるべく早く帰ってくるからな」


そう言って頭をポンポンと撫でて
翔くんは出掛けていった。



寝室に戻り、ベッドに横たわって目を瞑る。
もう一眠りしよう。
目が覚めたら、そしたら…


体力が落ちているんだろう。
俺はスーッと眠りに堕ちていった。







次に目を覚ましたのはもう午後の4時を回る頃だった。




…行かなきゃ。




グレーのスウェット姿のまま
玄関へと向かう。

もう、この場所には帰ってこれないかもしれない。




たくさんの思い出をありがとう…。




後ろ髪を引かれながら
合鍵で鍵を閉めると
俺はニーノの家へと向かった。

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