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黒猫ニーノと相葉さん。

第18章 猫の恩返し。

☆ニーノSide☆



結局、相葉さんと愛し合うことはなく
泣き疲れてそのまま腕の中で眠ってしまったぼくは
朝、仕事に向かう相葉さんをなんとか送り出して
一日中ソファーに丸まっていた。



― ピンポーン ―



来客を告げるチャイムにインターフォンの液晶を覗くと
ねずみ色の物体が壁に寄りかかっているのが見えた。


ジェイだ!



「ジェイ、歩いてきたの?」

「あぁ…」

「大丈夫?」

「お前こそ大丈夫かよ、ニーノ」


ジェイ、なんだか少しやつれたみたいだ。
って
ぼくもか…。


「オーノ様、呼ぼうぜ?
これで来なかったら…もう無理だな」

「だね…」



身体を支え合うようにしてなんとかリビングのソファーまで辿り着くと
緊急鳴呼でオーノ様を呼んだ。




「…届いてねぇな」

「ねぇ、これって、ぼくたちの問題なのかな?
それとも
オーノ様に何かあったのかな…?」


「どうだろうな…」



オーノ様、どうしちゃったんだろう。
また何かやらかして
ペナルティーを受けてるんだろうか。




「なぁ、ニーノ。」


「…うん?」









「…そろそろ、終わるな……」


「…うん……」




「行こうか…」



ジェイがぼくの肩を抱き
ぼくはジェイの腰を抱いて

ゆっくり
ゆっくり

外に出た。




導かれるように、その場所へ




一歩づつ歩みを進めていった。

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