黒猫ニーノと相葉さん。
第1章 月神様にお願い。
その日
相葉さんはずっと元気がなかった
何味のごはんがいいか
聞いてくれない
お風呂で鼻歌も歌わない
ぼくが相葉さんにできること…
何かないかな?
夜中
カタン、という物音で目が覚めた
キャットタワーの一番上に登って
カーテンの隙間から外を見ると
外の塀の上に
仲間のジェイの姿が見えた
『にゃーーーぉ。(なにしてんだ早く来い。)』
あぁ、そうか。
すっかり忘れてた。
今日は猫の集会の日じゃないか。
ご近所さんの櫻井さんちのジェイは
グレーの毛色で綺麗なフォルムの洋猫だ。
『なーごっ。(すぐ行く。)』
鍵のかかっていないベランダから外へと抜け出し
ジェイと連れだって
猫の集会へと出掛けた
『にゃお。にゃーぉ。(ニーノ。いよいよ今夜だぞ)』
『なーごっ?(なんのこと?)』
ジェイがピタリと立ち止まり
ぼくの方をじっと見た
『にゃぉーん。(鼻、貸せや。)』
あ。そうか。
ジェイの鼻と
ぼくの鼻を擦り合わせると
言葉の回路が拓いた。
鳴かなくても言葉が通じる。
ぼくら猫族の不思議な力なんだ。
『夜中にあんまり鳴いたら人間に迷惑だろ?』
『そうだった。ごめん。
で、いよいよ今夜だ。って、なんのこと?』
『あぁ。今夜は年に一度、月神様の恩恵を受けられる夜、“ルナ・アリュ・ナイト”だ。
ほら、見てみろ。まん丸のオレンジの月を。』
相葉さんはずっと元気がなかった
何味のごはんがいいか
聞いてくれない
お風呂で鼻歌も歌わない
ぼくが相葉さんにできること…
何かないかな?
夜中
カタン、という物音で目が覚めた
キャットタワーの一番上に登って
カーテンの隙間から外を見ると
外の塀の上に
仲間のジェイの姿が見えた
『にゃーーーぉ。(なにしてんだ早く来い。)』
あぁ、そうか。
すっかり忘れてた。
今日は猫の集会の日じゃないか。
ご近所さんの櫻井さんちのジェイは
グレーの毛色で綺麗なフォルムの洋猫だ。
『なーごっ。(すぐ行く。)』
鍵のかかっていないベランダから外へと抜け出し
ジェイと連れだって
猫の集会へと出掛けた
『にゃお。にゃーぉ。(ニーノ。いよいよ今夜だぞ)』
『なーごっ?(なんのこと?)』
ジェイがピタリと立ち止まり
ぼくの方をじっと見た
『にゃぉーん。(鼻、貸せや。)』
あ。そうか。
ジェイの鼻と
ぼくの鼻を擦り合わせると
言葉の回路が拓いた。
鳴かなくても言葉が通じる。
ぼくら猫族の不思議な力なんだ。
『夜中にあんまり鳴いたら人間に迷惑だろ?』
『そうだった。ごめん。
で、いよいよ今夜だ。って、なんのこと?』
『あぁ。今夜は年に一度、月神様の恩恵を受けられる夜、“ルナ・アリュ・ナイト”だ。
ほら、見てみろ。まん丸のオレンジの月を。』