イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
「ラッド様は大丈夫そうでしょうか…。」
ふっとテリザは唇を開いて訊ねた。
「…大丈夫、とは。」
ハルは言いづらそうに聞き返した。
あれから、二日が経っていた。まだ休めというハルを押し切って、テリザは明日からブルーベルに復帰すると言っていた。
実際、衰弱していた身体もある程度は回復していたし、何もしないでいるのも心苦しかった。
昨夜は、泥のように眠っていた。
夜眠るときにマットレスが身体に触れるのが気持ち悪くて、枕が顔に触れるのが苦痛で、この数日の間、寝付くのに時間はかかったが、そのためか昨夜は久しぶりに深い眠りの底に沈んでいた。
そろそろ、気持ちは多少ましになっている気がする。
だけど、何も忘れていないし、苦しい。早く忘れたかった。