イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
(…もしかして。)
「…責任を感じてらしたら悪いなと思って…。」
ラッドには、目が覚めてから一度も会っていない。彼が傷ついてしまっていたら、嫌だった。
テリザの髪を梳いていたハルは、少し手を止めた。
「ご自分のことより、君のことを心配していた。」
テリザは目を瞬かせた。
「私のことを…?」
さっきから、どうにもハルの言う言葉の歯切れが悪い。
「ラッド様は…。」
ハルが言いかけて、止まった。
「すまない。複雑な話になるかもしれないが、聞いてくれるか?」
戸惑いつつも、テリザはゆっくりと頷いた。