イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第3章 舞踏会
低い声が響き、部屋の奥から......堂々とした威厳のある男性が現れた。
高慢な表情に光るルビーのような瞳が、探るように彼女を見下ろした。
(今... 『私の部屋』 ...って言ったよね...?それじゃこの方が、ラッド様の敵......ローガン様!?)
ハルとリュカが広間を見張ってくれていたが、舞踏会の最中に、屋敷の奥に当主がいるなど考えていなった。
足が震えそうになるのを必死に堪えていると...
「ローガン様、どうかしましたか?」
(他にも人が...っ)
ローガンへ歩み寄った男性を見て、ぎょっとする。
(この人......!)
『貴女は......この店の人?』
『失礼なことをした。どうかお大事に』
『また、会いに来る』
(間違いない...昨日、ティーサロンの窓越しに会った人だ......ブラッドレイ家の貴族...ラッド様の敵だったんだ)
テリザがうつむくと、彼は目を丸くした。