イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第3章 舞踏会
「そこで何をしてる?」
「......!」
突然声を掛けられ、びくっと身体が震えた。
その途端...しっかりと握りしめていたコインが手のひらから転げ落ちる。
(いけない...っ)
慌てて拾い上げたが、遅かった。
「お前、そのコイン...どこで手に入れた」
暗がりから現れた警備の格好をした男の人が、テリザをぎろりと睨みつける。
「え......このコインが、何か?」
「とぼけんじゃねえ! 詳しく吐かせてやる」
「ゃ...っ」
強引に捕まえられて身を捩るが、すぐさま目隠しをされて視界が真っ暗になる。
(吐かせるって......何...? このコインはただの玩具じゃないの...!?)
必死にあらがいながらパニックに陥った、その時――
「......何をしている。彼女を離せ」