イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
「えっと……」
ここに来て間もない時の会話が蘇った。
『アレクでいい。面倒だから敬語もやめろ。』
あの時は、いろいろと…考えてしまって、断ってしまったが、今は、少しだけ気持ちが変わっていた。
「はい…じゃあそうしま……じゃなくて、そうするね……アレク。」
少しの躊躇の後、彼女はゆっくりとアレクの名前を呼んだ。
アレクはなぜか驚いたように目を瞬かせた。
「アレク…?」
きょとんとして見上げてくる視線から、彼はふいっと顔を背けた。
「…それでいい。じゃ、さっさと紅茶淹れとけ。」
「わかった。」
彼女は淡く微笑んだ。
「ありがとう、アレク。」