イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
都心を離れ、ひと気のない郊外まで来ると、さすがに少し心細くなってきた。
虫の鳴き声やフクロウの声も微かに聞こえてきた。道の横に広がる野原には、きっと昼間には小さな花々が咲くのだろうが、今は花を閉じてしまっている。
(こっちで合ってたかな…?)
地図の読み取りには正直、あまり自信はない。しかしテリザが引き返そうか迷っていると、道の先の方に建物の影が見えた。
ホッとして歩みを早めると、上には十字架が立っているのが見えて、目的地にたどり着けたのだとわかった。
しかし明かりはついておらず、中は暗い。
(誰もいないのかな…?)
慎重に近寄って扉を押すと、ぎいっと思いがけず大きい音がして、テリザはびくっと身をすくませた。
祭壇の奥の美しいステンドグラスからは月光が差し込んでいて、辺りに色の入った薄明かりで神秘的な雰囲気を醸し出していた。
どこか故郷の教会と似た感じがして、テリザはこの場所に心を惹かれた。奥の壁には十字架がかけられている。
(あ……)