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嫌われ狸の一生

第10章 おばあちゃんと親戚

高校3年生の時、ボクは申し訳ないことをした。
おばあちゃんが亡くなったのにお葬式に出なかったのだ。
小さい頃からボクを可愛がってくれたおばあちゃんなのに・・・

このおばあちゃんとは母方のおばあちゃん。
おじいちゃんは戦争で亡くなったとのことで、ボクは知らない。

父方のおばあちゃんとかは、幼い頃に見たことあるが、知らない。

父親が多額な借金を残した時にカネの無心をして、少しは払ってくれたのだが、家族から追放するから二度と来るなと勘当されたのは覚えている。

ボクが何でおばあちゃんのお葬式に行かなかったかというと、高校生文学小説に投稿したところ、見事に入選して、その表彰式の日と重なったのだ。

表彰なんて滅多にされたことのないボクにとっては晴れ舞台だったし、しかもモノカキを夢見ていたボクにとってはかなり大事な日だった。

バカな作品ばかり書いてるので意外に思う人も多いだろうが、文学小説も書くんです。

確か、不幸な家庭に育って人間不信だった主人公が、野球部に入り、チームメイトや自分のことを愛してくれるマネージャー、自分を強敵として認めてくれるライバルたちとの触れ合いを通して甲子園を目指すという物語だった。

どこか自分の人生を投影していた。

ボクが替え歌を始めたのは小学生の頃、小説は中学生の頃に始めた。
ガンダムやヒーローものが多かったが、文学にもかぶれていて、文学小説もけっこう書いた。

モノカキになりたいという夢はまだ諦めていなくて、今ではバカな作品ばかり書いてる。

おばあちゃんのお葬式にも出ないで表彰式に行ったが、入選なんてしたのはこの時だけだし、プロデビューなんてできてもいない。

残るのは後悔の念のみ・・・
いくら夢に対する大切な日だったとはいえ、可愛がってくれたおばあちゃんのお葬式にも行かないなんて人としてどうかしている。

おばあちゃんも不幸な人で、長男夫婦と同居していたのだが、鬼嫁で、長男もこの鬼嫁と結託しておばあちゃんをいじめていた・・

そんな家だけど、父親の暴力がひどい時は母親はボクや妹を連れておばあちゃんの家に逃げたから、小さい頃はよく泊めてもらった。

この長男というのは狂気的な凝り症な男で、当時は車に凝っていた。
車を汚すと気ちがいのように怒った。
鬼嫁とは仲がよかったが、車を汚すと激怒するのは例外ではない。

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